福大生が郡山市内で台風19号関連のボランティアに参加しました。
台風19号で阿武隈川が氾濫したことによって、私たちが暮らしている福島県郡山市が大きな被害を受けました。
エフライフ社員も何度かボランティアに参加しましたが、水を含んだ衣類や家具の運搬、泥のかきだしなど気の遠くなる作業が続きました。被災された方にはご高齢の方も多く、復旧作業は容易いことではありません。「ボランティアに参加したいがイメージがわかない」「どうやって参加していいのか分からない」「道具や服装は何を持っていったらいいのか」といった声も多く聞いたため、郡山でボランティアに参加された方向けに、福島大学の鈴木さんが体験談を寄稿してくれました。
鈴木彩乃 福島大学 現代教養コース
鈴木彩乃さん(福島大学 現代教養コース)
・出身 福島県二本松市
・好きな食べ物 ナムル、焼き芋、タルト
・普段の活動
大学でジェンダーや地域コミュニティについて学びつつ、休日は郡山や白河、国見、西会津など県内で開催される地域イベントに参画。
身近な友達が住む”郡山”、よく訪れるだいすきな”郡山”。じぶんにとって、あまりにも身近過ぎるもう一つの”地元”が被災したことをTwitterや友達から聞き、台風が過ぎた後もなお、自分が平然と特に甚大な被害なく暮らしていることにずっと違和感を抱いていました。「行かなくちゃならない。」という義務感よりも、「はやく行きたい。参加したい。」という気持ちが大きかったと思います。
初めての災害ボランティア経験で、とにかく持ち物も、長靴と汚れてもいいもの、マスク。そんな当たり前のことしか浮かばず、正直何を準備したらいいのか全く分かりませんでした。そして、それ以上に、「被災したひとにどんな声掛けをしたらいいのだろうか。」と自分の心のあり方にすごくすごく悩んでいました。
ボランティアセンターでの受付後のオリエンテーションにて、「災害ボランティアの心構えとして、『何でもやります』ではなく被災された方とボランティアが復興にむけて『一緒に協力する』というスタンスで取り組んでください。」との説明を受け、すごくハッとしました。
「何でもやります。」
その言葉はいい言葉であることに間違いではないけれど、どこか被災者との距離を感じる言葉であるなと思いました。『私はあくまで支援者です。』と被災者と支援者で線引きをされているような印象を受けるなと思いました。一緒に回ってくださった高校生や社会人の方々の声掛けは、とても温かみがあって、まるで親戚、血は繋がっていないのだけど家族のような会話をしているような印象を受けました。初めての災害ボランティアに参画した自分も、そんな声掛けを意識してボランティアに取り組むことができました。
被災した方で、こんなことを話してくれた人がいました。
「ごめんね。普段だったら全然しゃべらないのに、しゃべっていないと涙がでてくるから、しゃべってしまうの。ほんとうにうるさくてごめんね。」
ひとには誰しも向き合いたくない感情がある。家族に会うと、辛い感情が溢れて泣いてしまいそうになると話してくれたその方の想いを聞いて、すごく胸が締め付けられました。ニュースでも取り上げられる機会が減り、ボランティア数も減少傾向にある中で、家の片づけなどの”作業”は着実に進んでいるものの、被災した方々の”こころ”は今も止まったままです。
自分は作業しつつ、その方の話を聞いていました。
「昔はここでこんな事があってね…」
自営業でお店を営んでいたその方は、お店にきた学生や社会人の方と話をすることで元気をもらっていたんだと、すごく楽しそうに話をしてくださいました。
「もうお店をしないことが、自分にとっての当たり前になるのがとても怖い。お店をやっているのが当たり前であってほしい。」そう言って「よし!じゃあ、お店復活させるから、今度遊びにおいで!」とボランティア終了間際にその方はおしゃってくださいました。
自分のことよりも、ボランティアの人やお店の2階に住む学生さんのことを最優先に思いやる、その方のあったかさに触れつつ、その方の本当の家族ではないけれど、その方の孫になりたい…そんな感情を抱きました。
「ぜひ、これからも郡山にきたら、絶対会いに行きます!」
帰り際、その方が笑って、自分たちボランティアスタッフの帰りを見送ってくださった様子をみて、私自身とても嬉しくなりました。ボランティアをしていて、申し訳ないと思うほどに、私自身がすごく支えられた面が沢山あって、すごくすごくあったかい気持ちになりました。
本当に県内外から多くの方が手伝いに来てくださり、その方ひとりひとりが福島県のことをすごく思ってくれていて、福島で暮らせていること、そんな人にボランティアを通じて出会えたことに、とても嬉しくなったのと同時に、今回実際に参画してみて、災害ボランティアのカタチは、復興にむけて『一緒に協力する』ひとであるだけでなく、関係人口のひとりでもあると感じました。
ボランティアをした2か所のご家庭はどちらも核家族で、息子さん・娘さん夫婦などは遠方で暮らしていました。「遠方で暮らす家族には心配をかけたくない。だから、家族であるがゆえに余計に『助けて』とは言いづらい。そんな状況の中で寄り添ってくれる人がいるってすごく嬉しい。ありがとう。」という言葉を聞いて
いまの社会はきっと「助けてって言いにくい、ひとに甘えづらい社会」なのだと思いました。
そんな中で自分にできることは、ボランティアを通じて家財道具運びや泥かきをすることだけでなく、ましてやそれが支援者としての立場ではなく、被災された方が、自分の心と向き合うと辛くなる感情もあるという状況だからこそ、「寄り添い、より身近に、他人でもなく家族でもないもうひとつの存在になること」ではないかと思います。
「今回の災害ボランティアでの関係性は単発的なもので終わらせたくない。むしろ、終わらせてはいけない。」
まだまだ復興していない箇所もあるため、継続してボランティアに参画するとともに、復興後も知り合った方との縁を大切に出会った方々に直接会いに行きたいと強く思いました。
また、被災された方には「こんな些細なことで、ボランティアさん呼んでいいのかな」とボランティアの要請に関して、謙遜している方が多いような印象を受けました。「前に一度ボランティアさんを要請したから、(今回は2回目で)もう一回頼むのはすごく申し訳ない気がした。」と話されている方もいて、、ボランティアを要請することへの心境的な面でのハードルが高い点が少し気になりました。
被災者からの直接的な要請だけでなく、ひとに何かを頼むことに抵抗があるひとに対して寄り添える体制が今後必要になってくるのではないかと思います。
現在のボランティア募集について
(郡山市社会福祉協議会 2019.12.13時点)
郡山社会福祉協議会Facebookページによると、現在のボランティア情報は下記となります。
ボランティアセンターは、「生活支援ボランティアセンター」へ移行しています。災害ボランティアセンターから「生活支援ボランティアセンター」への体制移行に伴い、被災された方々を継続的に支援していくために、今後も活動していただけるボランティアさんの登録を開始いたします。12月からは金・土曜日を活動日とし、ボランティア依頼の活動日に合わせて個別にボランティアさんを調整させていただきたいと思います。
登録申込書は郡山市社会福祉協議会のホームページに掲示していますので、ご記入のうえメール、FAXでお申し込みください。また、お電話でも受け付けておりますので、皆さまのご登録をお待ちしております!(郡山市社会福祉協議会facebook,
2019年11月22日投稿)
《連絡先:生活支援ボランティアセンター》
080-2845-2750
080-2845-2751
080-2845-2753
※現在、県内在住者に限りボランティア募集しています。
※下記情報は2019年12月13日現時点での情報になります。最新情報は郡山市社会福祉協議会のFacebookページ、電話番号、各種HPをご確認の上、ボランティアにご参加下さい。